3Dプリント技術は製造業に革命をもたらした技術の一つです。
その中でもFormlabsの光造形3Dプリンターは、精度と品質の高さで知られています。
本記事では、Formlabsの人気モデルであるForm 3+と、最新モデルであるForm 4の違いについて「スピード」「サイズ」「コスト」をベースに解説いたします。
3Dプリンターはそれぞれの技術や特性の違いを理解し最適なものを選ぶことで、製造プロセスの効率化とコスト削減が実現できますので、ぜひご参考ください。
▼こんな方におすすめの記事となっています
・Form 3+とForm 4どちらを導入しようか迷っている
・Form 4の導入を検討している
目次
・造形スピード
・造形ボリューム
・造形成功率
・使える材料
・オペレーションコスト
・まとめ
造形スピード
造形スピードは3Dプリンターのでの生産を大きく左右する重要な要素です。
Form 4はForm 3+に比べ、造形スピードが大幅に向上しています。
具体的な比較を以下図にて見てみましょう:
このように、Form 4は最大50mm/時間を実現し、Form 3+と比べ2倍〜4倍のスピードで造形が可能です。(使用する材料、モデル、積層ピッチによる)
これにより、プロトタイプの迅速な作成が可能となり、製造の効率化を図ることができます。また、短時間での生産にも対応できるため、ビジネスのスピードアップに寄与します。
造形ボリューム
造形ボリュームの拡大は、より大きな部品の製造を可能にし、設計の自由度を高めます。
Form 4はForm 3+と比較して30%大きい造形ボリュームを持ち、最大造形部品の長さも22%長くなっています。
それぞれのビルドボリュームは以下になります:
Form 3+:14.5 × 14.5 × 19.3 cm
Form 4:20.0 × 12.5 × 21.0 cm
Form 4になってビルドボリュームが増加することにより、これまでサイズが大きいため分割して造形していたものが、一体成形可能となり、組み立て工程を簡略することができます。
造形成功率比較
信頼性の高い造形成功率は、製造業において非常に重要です。
高い成功率を実現することによって、造形失敗による材料ロスや時間の無駄を最小限に抑え、コスト効率を高めることができます。
発売されたばかりのForm 4の造形成功率データはまだとれていませんが、Form 3+から改良された造形技術により、一貫してForm 3+よりも高い造形成功率を想定しています。
今後のファームウェアやソフトウェアのアップデートにより、継続した高い造形成功率が期待できます。
使える材料
Form 3+で使えていた材料のほとんどがForm 4でも使用可能ですが、一部の材料はまだ使用できません。また、Form 4では特性が改良され再登場した材料もあります。
さらに、レジンタンクやビルドプラットフォームなどもForm 3とForm 4は互換性がございませんので、以下の表を参照ください。
現時点(2024年5月時点)で、それぞれの機種にて使える材料は以下の通りです。
最新の情報はYOKOITOまでお問い合わせください。
クリアレジンにおいては、Form 3専用レジンClear Resin V4と比較してForm 4専用レジンClear Resin V5では透明度がより増しているのも特徴的です。
また、Form 4専用レジン材料では従来のForm 3+用よりも材料特性が向上しており、より強度や耐久性に優れた製造が可能になります。
ただし前述の通り、Form 4ではまだ使用できない特定の材料がありますので事前にご確認、お急ぎの場合はForm 3+の導入をおすすめいたします。
オペレーションコスト
オペレーションコストは、長期的な運用において重要な要素です。
Form 4はForm 3+と比較して運用コストが約40%低減されています。
▲レジンタンクやレジンカートリッジの価格
※2024年5月現在。価格は改定されている場合もありますので、最新情報はお問い合わせください。
さらに、Form 4のレジンタンクは75,000レイヤー以上の耐久性があり、交換頻度が少なく済むため、長期的なコスト削減に繋がります。
Form 3+とForm 4でそれぞれ同じパーツを造形した時のコスト感も見てみましょう。
まとめ
Form 3+とForm 4はそれぞれに強みがありますが、Form 4は総合的にみて大きな進化を遂げています。
高速造形、大きな造形サイズ、高い造形成功率、進化した材料、そして低コスト運用が可能なForm 4は、現在の製造業における要求に応えるための最適な選択肢と言えるでしょう。
しかしながらForm 4はまだ発売されたばかりの新商品です。
そのため、使用できるレジン材料や納期に関しては、まだForm 3+の方が安定しているのも事実です。
導入をご検討されている方は、現在使用できる材料や納期などを考慮し、最適な選択をしていただくのがベストでしょう。
導入についてのご相談は、YOKOITOまでお問い合わせください。
編集後記
Form 4の登場時には「どちらを買うべきか」というお問い合わせを多々いただきました。
そのため、今回のブログでForm 3+とForm 4について改めて比較し、整理してみました。
速さや運用コストを重視する場合はForm 4がお勧めです。
一方で、2019年から世界中で何万台も導入され、確立された安定性と信頼を持つForm 3+も優れた選択肢です。
さらに、Form 3+でしか使えない材料があることも重要なポイントです。
ただ、Formlabs社のForm 4回発への熱意は非常に高く、
その熱意が反映されたForm 4のスピード、品質、そして使いやすさには感動すら覚えます(私が初めてForm 4を使用したときは心底感動しました)。
今後、Form 4の本体やソフトウェアのアップデート、新材料の登場には大いに期待が持てます。
現在、Form 3+もしくはForm 4の導入を検討されている方は、安定性、実績、コスト、スピード、サイズなど、さまざまな面で比較してみることをお勧めします。
少しでも迷ったら「こういうことに光造形を使いたいが、どちらを使うべきか?」とYOKOITOにご相談いただくのが良いでしょう。
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