Form 4と共に発表された新材料「Fast Model Resin」は、3Dプリントの速度と効率を大幅に向上させるForm 4専用のレジンです。このレジンは高速での造形が可能で、Form 4のフルビルドボリュームでも2時間以内に造形を完了できます。
このレジンはForm 3シリーズの「Draft Resin」を基に、さらに速度や物性を向上させたものになります。
本記事ではそのFast Model ResinとDraft Resinの違いについて解説します。
Draft Resinの特徴
Draft Resinは他のスタンダードレジンに比べプリント速度が最大4倍。初期プロトタイピングに最適で、高速なデザイン検証により製品の市場投入までの時間を短縮できるレジンです。
Draft Resinでプリントしたパーツは速さと精度のバランスがよく、表面は滑らかなグレーになりました。
【色味】
濃いグレー
【使用できる3Dプリンター】
Form 2、Form 3シリーズ
Fast Model Resinの特徴
Fast Model ResinはDraft Resinの後継として、Form 4を最大限に活かせるように開発された材料です。Form 4に搭載の新技術LFD(Low Force Display)プリントエンジンとハードウェアに合わせて特別開発することで、スピード、機能特性、審美性を大幅に向上させることに成功しました。
その審美性と機能性の高さから試作用途だけでなく、最終製品としても使用が可能です。
リリース時にはFormlabs史上最速のレジン材料として注目されています。
【色味】
グレー(Draftより明るいグレー)
【使用できる3Dプリンター】
Form 4シリーズ
Fast Model ResinとDraft Resinの比較
▲タワーキャップ:Fast Model Resih(左)、Draft Resin(右)
Fast Model ResinはDraft Resinに比べてスピードだけでなく、精度と造形品質、耐久性、審美性がさらに向上し、不透明な色合いやマットな質感も増しています。さらに、揮発性有機化合物(VOC)を限りなく抑えたことで、匂いが少なくなりました。
Draft Resinの3倍、Formlabs史上最速のレジン
Form 4でFast Model Resinを使用した場合、Form 3シリーズでDraft Resinを使用した場合と比べて造形スピードが3倍も向上し、積層ピッチ200μmの設定で最大100mm/時間を実現できます。
手のひらサイズの治具や部品であればわずか数分で、フルビルドでも2時間程度で造形が完了できます。
さらに、後処理として洗浄は5分間、室内での二次硬化は5分間で完了するため、作業手順全体にかかる時間を削減できます。
Form 4にてFast Model Resinを使用した場合:造形時間 1時間37分
Form 3+でDraft Resinを使用した場合:造形時間 4時間29分
機械的特性の向上
Fast Model ResinはDraft Resinよりも強度と剛性に優れ、負荷のかかる環境にも耐えることができます。
また、耐衝撃性と破断伸び率が向上し、破損に強い機能部品を高速造形できるようになります。
機械的特性は二次硬化時の温度設定や時間でも変わってきますので、以下をご参考ください。
画像引用:Formlabs公式サイト Formlabs最速の3Dプリント用レジン、Fast Modelレジンが新登場
まとめと注意点
▲左がFast Model Resin、右がDraft Resin。Fasr Model Resinの方が若干明るいグレー
各材料が使用できる3Dプリンターが異なる点には注意が必要です。Form 3シリーズではFast Model Resinが使用できず、Form 4ではDraft Resinが使えません。
また、色味も異なるため、好みや用途に応じた選択が重要になります。
▲200μmで造形したサンプル品、Fast Model Resin(左)/ Draft Resin(右)
審美性に関しては同じ200μmでもFast Model Resinの方が積層ピッチが目立たないという特徴があります。(写真参考)
Fast Model Resinは造形スピードが速く、審美性や機械的特性にも優れていますが、現在使用中のプリンターや導入予定のプリンターはどれなのか・色味や物性など多方面から見て適した材料を選ぶことが大切です。
比較を希望される方には、写真の無料サンプルも配布していますのでお気軽にお問い合わせください。
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